Impulse Buying
CD衝動買い

バックナンバー#4

'99年7月〜12月

★ December 1999 ★

S & M/Metallica
'99年に行われたフル・オーケストラとの共演ライブの模様を収めた2枚組。 久しぶりに"Battery"や"Master Of Puppets"の鋭く激しいリフを聴いて、胸が熱くなった。 その昔メタリカに熱中していた頃を思い出してしまった。 最近のメタリカには"Lord"以降ついていけなくてすっかりご無沙汰だけに、感動がより大きかった。 自分の音楽的ルーツを再発見できたような気がした。 テンポの速い曲が不思議とオーケストラの音と融合しているので、なかなか興味深い実験(?)だ。
Technical Difficulties/Racer X
ついに再結成が実現したRacer Xの復活作。 ポール・ギルバートがこれでもかといわんばかりにギターを弾きまくっている。 これくらい徹底してくれると気持ちいい。 ジェフ・マーティンの歌はまずまずの感じ。やや落ち着きがでてしまったか。 ドラムスは現ジューダス・プリーストのスコット・トラヴィス。 Black Sabbathの"Children Of The Groove"をカヴァー。
Live Era '87-'93/Guns n' Roses
今頃になって突然発売された2枚組のオフィシャル・ライブ盤。 一気にスターダムへのし上がった当時の勢いがダイレクトに伝わってくる。 ヒット曲が多いし、ベスト盤的な選曲のおかげで、2枚通して聴いてもまったく間延びしない。 中でも"Patience"は鳥肌ものの素晴らしさだった。
The Brian Setzer Collection '81-'88/Brian Setzer
Stray Cats在籍時とソロ活動期のレア音源を多数収録。 スリーコード以外の音楽をやると、とたんに見栄えがしなくなるのは何故? やはり、この人はわかりやすい音楽をやっているときがイチバン輝いている。
Techno Bible/Yellow Magic Orchestra
「テクノポリス」シングル・バージョンや「過激な淑女」スタジオ・バージョンが聴きたくて、ずうっと探してた。 5枚組のボックス・セットで全曲リマスタリングが施されている。 ブックレットが充実していて嬉しい。再結成を目の前にとぼけまくっている細野氏のインタビューが白眉。
Bring 'em Out/Firehouse
'99年に行われた大阪公演の模様を収録したライブ盤。 かつての名曲を中心に新作"Categoly 5"からの曲を適度に散りばめた選曲。 のっけから"Overnight〜"をぶつけてくるあたり最高です。 実際に見たかったと思わせてくれるのはサスガ!
Tyranny Of Beauty/Tangerine Dream
新たにリマスタリングされたドイツ盤。 アメリカ盤をすでに持っていたけれど、シークレット・トラックの"Quasar"が新たに追加されたので購入。 ギターの音がよりクリアになり、いままで聞き取りにくかったフレーズが浮き出てきたので感激。 特に"Catwalk"のスパニッシュ・テイスト満載のアコギ・ソロなんかは最高! 実は、Tangerine Dreamの音楽に本格的にのめり込むようになったのは、このアルバムを聴いてからなのだ。 音質が良くなったおかげでまた新たな発見がありそうだ。
Dream Encores/Tangerine Dream
長いこと探しまくってようやっと見つけた。だってどこにも置いてないんだもん。 '90年代に行われたライブからの音源を集めた作品。 しかし、観客の歓声や拍手は一切カットされているので、音的にはあまりライブっぽくない。 "Towards The Evening Star"などは、スタジオ・ヴァージョンとまったく区別つかなかった(^-^;)。 ビートルズの「エリナー・リグビー」、ジミ・ヘンドリックスの「パープル・ヘイズ」をカヴァーしている。 今まで聴いたことのないテイクばかり納まっていたので、苦労して探した甲斐がありました。はい。
Boys And Girls/Bryan Ferry
'85年発表のソロ第6作目。 音楽的にはRoxy Musicの"Avalon"の延長線上という感じ。 "Don't Stop The Dance"が聴きたくなって衝動買いしたもの。 オトナの雰囲気にどっぷり浸かるのだ。
Naughty Boys Instrumental/Yellow Magic Orchestra
「浮気な僕ら」のインスト版。 商売根性ミエミエだったので当時は買わなかった。 今回初めて聴いたのだけど、ヴォーカルのメロディをなぞっているシンセが邪魔。 これはいったい誰が弾いているのかな?とても教授の仕事には思えないのだが。 歌メロシンセがないほうが、より楽曲の細部が聞こえて興味深いアルバムになっていたように思う。
Yellow Magic Orchestra(Japanese Edition)/Yellow Magic Orchestra
デジタル・リマスタリングで買い直し。 音の分離がよくなったおかげで「東風」、「マッドピエロ」における細野さんの演奏がよりクリアに聞こえるようになった。 アメリカ盤のリリースが待ち遠しい。
Slipped Into Tomorrow/John Norum
ギタリストのソロ作品らしく、心ゆくまでギターを弾きまくっている。 バキバキと硬質に決めてくる歯切れのいいリフが気持ちいい。 ギターの音をもっと艶のある音質に録音してくれたらもっとよかったのに。 全曲にわたって彼自身のヴォーカルがフィーチャーされている。 あまり期待しないで買ったんだけど、彼の作品中イチバンのお気に入りに決定! とにかく曲がいい!Thin Lizzyの曲もカヴァー。
Done By Mirrors/Deris
ハロウィンの歌謡曲部門担当(?)アンディ・デリスのソロ作。 かつてのPink Cream 69を彷彿させるメロディアスでわかりやすい曲がいっぱい。 アンディ以外のメンバーが歌っている曲は蛇足。 ハロウィンの新譜がどんな風になるのか楽しみだ。
Run Devil Run/Paul McCartney
1950年代のゴキゲンなロックンロールのカヴァーとオリジナル3曲を収録したポール久々の新譜。 オリジナル曲も古き良き時代のテイスト満載でなかなかよい。 レコーディングにはディープ・パープルのイアン・ペイス、ピンク・フロイドのデイヴ・ギルモア等が参加。 下手にモダン路線を狙うよりも、こっちのほうがポールの音楽性に合っているような気がする。 理屈抜きで楽しもう。
Avalon/Roxy Music
大昔、ベストヒットUSAで"More Than This"のプロモを見て衝撃を受けた。 これが自分のロキシー・ミュージックと最初の出会いだった。 しかし、皮肉にもこれが彼らにとって最後のアルバムとなってしまったようだ。 ブライアン・フェリー独特の世界にどっぷりはまります。
The Woman In Red/O.S.T.
'84年封切りのジーン・ワイルダー主演の映画サントラ。 全曲にわたってスティーヴィー・ワンダーが担当している。 何曲かディオンヌ・ワーウィックとのデュエットも収録。 "I Just Called To Say I Love You"が急に聴きたくなって衝動買い。 映画を知らなくても、スティービーのアルバムとして純粋に楽しめる。
In Square Circle/Stevie Wonder
名バラード"Overjoyed"を聴きたくて買ったCD。大ヒット曲"Part Time Lovers"も収録。 緻密に計算された打ち込み演奏が印象に残った。 スカスカな音質は輸入盤ゆえなのだろうか?

★ November 1999 ★

The Very Best Of Gut Years 1994-1997/Ryuichi Sakamoto
GUT在籍時の教授ベスト盤。未発表テイクの"A Flower Is Not A Flower"、"1919"、"Floating Along" が聴きたくて中古で購入。破綻のない選曲ですんなり楽しめる。 やっぱり教授は歌わない方がいい(^-^;)。
Scenes From A Memory/Dream Theater
新加入のキーボード、ジョーダン・ルーデスが果たしてバンドにどんなケミストリーをもたらすか?がとても楽しみであった。 答えは明白。彼の加入によってドリーム・シアターが生き返った。すんごいよインスト・パートが。 Liquid Tension Experimentでその実力は確認済みだったけど、ここまでやってくれるとは。 今回は凄いアルバムを作ってやるというメンバー全員の意気込みがヒシヒシと伝わってくるのだ。 心配されたJ・ラブリエのヴォーカルもうまく溶け込んでいる。 今回はコンセプトになっているので、歌詞カードとにらっめっこしながら改めて楽しんでみたい。 "Another Day"のようなキャッチーさがもうちょっとあれば文句なしだった。
As Time Goes By/Bryan Ferry
1930年代のミュージカルヒットを集めたセピア色の音楽。 デキシーランド風あり、ラテンもある。 映画「カサブランカ」で有名な"As Time Goes By"もブライアンの渋い歌声によって、 なんとも色っぽく生まれ変わってしまう。 J-WAVEでこれが流れたのを偶然聞いて一発で気に入った。 ムードいっぱいで12月の夜の雰囲気に合う1枚かも。 最近はこの手の音楽がとても耳に心地よい。歳かな。。。
Raw Life Osaka/Ryuichi Sakamoto
坂本龍一のオペラ「LIFE」の実況録音。 東京公演と大阪公演がそれぞれリリースされたうち、 とりあえず大阪の方を買ってみた。 気に入ったら東京の方も買って見るつもり。 やはり、ビジュアルがないとなんだかよくわからない。 あと、外国語の語り部分は対訳がないと、何を言っているのかさっぱりわからない。 ちょっとサービスがたりないんじゃないかなあ。 年末にテレビ朝日でオペラの模様がノーカットで放送されるみたいなので要チェック。

★ October 1999 ★

The Dearest Fool/Yukihiro Takahashi
幸宏さんのソロを買うのは、かなり久しぶり。 今回の新作はとてもよかった。期待以上の出来!生音禁止の全編テクノ。 YMOの"テクノドン"を想起させる音作り。 いい曲が揃っていていて、捨て曲はいっさいなし。 自分の耳にとても心地よいアルバムでありました。 山本耀司、鈴木慶一、高野寛、Steve Jansenらゲストも豪華。 もしかしたら、今年のお気に入りナンバーワンになるかも。
Passion And Warfare/Steve Vai
'90年の作品。とても音質がいいのでびっくりした。 スティーヴ・ヴァイの作品の中では聞き易いほうだと思う。 けっこう、テレビ・ラジオのスポーツ番組やバラエティとかのBGMでこのアルバムに入っている曲が頻繁に使われているんだよね。 彼の入門用に最適。
Zoning /Tangerine Dream
ドイツで売られているSFもののビデオのサントラらしい。 ジャケットを見る限りとてもあやしかったのだが、買ってしまった。 ビデオを見ていなくても、彼らの音楽として楽しめる内容だったのでよかった。
Destination Berlin/Tangerine Dream
'89年の作品らしいのだが、実はこのCDについてはまったく情報を持っていなかった。 それだけに店頭でこれを見かけたとき、胡散臭くて手をだそうかとても迷った。 結局は買ってしまったのだが、聴いてみるとまともな作品だったので安心した。 音的には"Lily On The Beach"や"Optical Race"あたりの延長線上という感じだった。 どうやら映画かビデオのサントラらしい。
Sorcerer/Tangerine Dream
記憶が確かならば、これは彼らにとって初の映画サントラ作品だったような気がする。 '77年の作品で、ムーグ・シンセとシーケンサーを使いはじめた頃の"Phaedra"や"Rubycon"の音に近い雰囲気。 血の通っていないような冷たい無機質な音楽。思考を麻痺させたいときに用いたい。
Metal Box/Helloween
ハロウィンのカバー曲ばかりを集めた企画アルバム。 Scorpions、Jethro Tull、ABBA、David Bowieなどなど幅広い選曲で興味深い。 残念ながら自分が知っている原曲はThe Bealtesの"All My Loving"だけだった。 肩の力を抜いて楽しみながら作られたこの手の作品は、けっこう好きです。
Erosse The Slate/Dokken
ジョージ・リンチ脱退後、元WIngerのレブ・ビーチをギタリストに迎えて作成された再結成Dokkenのアルバム。 こういうのを待っていたんだよう!覚えやすい歌メロにのった普通のハードロックを! 最近の若い人に「古い」、「ダサイ」などと非難されようとも、わしはこっちを断固として支持してしまうのです。 モダン・ヘヴィネス路線にはもう食傷で胃もたれなのだ。 レブのギターは、ちゃんとツボを心得ていて言うことなし。 さらに"Alone Again"路線の感動的なバラードがあれば満点でした。
Get Over It/Mr.Big
ずいぶんオトナっぽいブルーズ色の濃いロックになりました。 というか、ずいぶん地味な音楽になってしまったなあ、というのが率直な感想。 心に響くバラードが1曲でもあれば、もっと印象のちがうアルバムになっていたかも。 新加入のリッチー・コッツェンは、ジミ・ヘンドリックスから多大な影響を受けているギタリストのように聞こえた。
A Hot Night In Paris/The Phil Collis Big Band
ジェネシスやフィル・コリンズのヒット曲をビッグバンド・ジャズで再現。 フィル自身もドラムスで参加。全曲インスト。 かつての名曲がゴージャスでアダルトな雰囲気に変身している。 パリ公演でのライブ音源でゲストにジョージ・デュークらも参加している。 フィルの危なっかしいフランス語でのMCも微笑ましい。
Yellow Submarine Songtrack/The Beatles
最初は、このCDをまったく買う気はなかった。 別に未発表曲や未発表バージョンが入っているわけではないし、 どれも聴いたことのある曲ばかりだったので。 ところがまわりからこのCDを誉める声があちこちから聞こえてきたので、とうとう買ってしまった。 なるほどいい音になっている。とくにヴォーカルの臨場感が素晴らしい。 「サージェン・ペパーズ〜」や「アビー・ロード」の全曲も是非同様のリマスタリングで聴きたいものだ。

★ September 1999 ★

Alchemy/Yngwie J. Malmsteen's Rising Force
このCDを聴いて真っ先に思い出したのはRainbowの"Rising"だった。 両者とも売れ線に一切媚びることのない妥協なき作品である。 イングヴェイのギタリストとしてのプライドと意地を感じる。 こういう路線にこそコージー・パウエルの強力なドラムスが必要なのだ。 ヴォーカルのマーク・ボールズの貢献は特筆すべき。 イングヴェイが安心して彼に歌を任せているような気がする。
YMO Go Home/Yellow Magic Orchestra
細野晴臣の選曲によるベスト盤。未発表曲が2曲収録されている。これを聴きたいがために買ったようなもの。 YMOにはオリジナルアルバムに収録されていなくて、いまや聴くことが困難な曲がいっぱいあるのだが、残念ながらその手の音源は入っていない。 テクノポリス(シングルバージョン)、過激な淑女、Chaos Panic、M16等を是非入れて欲しかった。 YMOパストマスターズのリリースを切に願う。
Solid State Survivor/Yellow Magic Orchestra
デジタル・リマスタリングで買い直し。 わしの青春時代がこれにつまっています。中学生のとき毎日繰り返し聴いてました。
Public Pressure/Yellow Magic Orchestra
デジタル・リマスタリングで買い直し。 やたらと音の分離がよくなり目から鱗。"The End Of Asia"が白眉。
BGM/Yellow Magic Orchestra
デジタル・リマスタリングで買い直し。 細野さんのシンセ・ベースが地響きのような太い音に。
Technodelic/Yellow Magic Orchestra
デジタル・リマスタリングで買い直し。 京城音楽で今まで聞こえなかった音が聞こえた。深い!
Soundtracks/Ryuichi Sakamoto
坂本龍一がヴァージン・レコードに在籍していたときに発表されたサントラのベスト盤。 ラスト・エンペラー、シェルタリング・スカイ、ハイ・ヒール等の作品からの抜粋。 オリジナル盤に未収録の音源があるものと期待して買ったのだが、みごとにハズレだった。 ひえー!
Life In Progress/Ryuichi Sakamoto
9月に東京と大阪で行われた坂本龍一のオペラ「LIFE」の青写真的作品。 実際の公演ではフル・オーケストラによる演奏が行われたが、こちらは下絵的なシンセによる演奏。 2枚組CDでなかなか聴きごたえがある。音楽に挿入されているセリフの台本もつけて欲しかったな。
08/21/1996/Ryuichi Sakamoto
ピアノ、バイオリン、チェロのトリオで録音されたアルバム"1996"のアウトテイク集。 シンプルな構成になった分、贅肉がなくなり坂本龍一の音楽が持っている本来の魅力が剥き出しになった感じ。 やがてこれがピアノ・オンリーの作品"BTTB"へつながっていくのだ。

★ August 1999 ★

Risk/Megadeth
メガデスらしさの2大要素は、 「複雑かつ人を突き放すような冷たいリフ」と「デイブ・ムステイン独特の絞り出しヴォーカル」である。 今回の新作では複雑なリフを封印し、ムステインの歌だけでも”らしさ”を損なわないことを証明してみせた。 古くからついてきたファンに踏み絵を迫るような、文字通り"risk"に満ちている野心的な作品である。 どんなリフが出てくるか毎回楽しみにしていた自分にとっては、ちと物足りなかった。 リフの変化は"Youthanasia"の頃からすでに兆候が見えていたけど、ここまでやるとはね。 作品そのものはそれなりに楽しめたけど、このまま突っ走るのかなあ。
The Ultra Zone/Steve Vai
このアルバムを理解するには、1回聴いただけでは無理だった。 何度も繰り返し聴く度に新たな発見がある感じで、とても聴きごたえのある作品。 1曲目でインド語のヴォーカルをフィーチャーしているのだが、ほんわかした和やかな雰囲気で東洋文化に対する憧れも感じられる。 13曲目の"Asian Sky"ではゲストにB'zを迎えていて、不思議とヴァイの音楽に融合している。
Sons Of Society/Riot
のっけはシタールを用いた東洋風の音楽から始まり、いつもとは違う何かを期待させてくれたのだが。。 わりと平凡な曲が延々と続き、期待は見事に裏切られた。 彼らの音楽を聴く度に、どうしても彼らの最高傑作である"Thundersteel"と比較してしまう。 当時の気迫と緊張感が今回にはさほど感じられないのだ。 ゴマちゃんがジャケットに復活しただけに残念だ。
Love Is The Devil/O.S.T.
ジョン・メイブリィ監督によるイギリス映画のサントラ。 坂本龍一が音楽担当なので買いました。異色の画家フランシス・ベイコン とその恋人ジョージ・ダイアーとの関係を軸に彼の生涯を描いた映画だそうです。 まだ観てません。音楽の方は妥協なきアンビエント。凄すぎる!聴き手をひどく限定する音響寄りの音楽。 わしにもようやっとこの手の音楽が楽しめる免疫ができたようです。
Asian Games/Yosuke Yamashita+Bill Laswell+Ryuichi Sskamoto
山下洋輔がBill Laswell、坂本龍一と異種格闘技セッション。 教授が曲作りに参加している"Chasin' The Air"、"Napping On The Bamboo"はかなりアンビエント色が濃い。 音楽理論の試験では容赦なくバツをもらいそうな音の重ね方・つなげ方で迫ってくる。 個人的にお気に入りは1曲目の"Melting Pot"。歯切れのいいベース・ラインが気持ちいい。
The End Of Asia/Ryuichi Sakamoto+Danceries
古楽器アンサンブルによるヨーロッパ中世の音楽を坂本龍一がプロデュース。 教授の曲もいくつか含まれている。"The End Of Asia"は千のナイフに収録されているバージョンを古楽器にアレンジされたもののようだ。 教授の曲が登場すると、古き良き時代の素朴な世界から一気にモダンな雰囲気へタイムスリップする。 この辺のミスマッチ感覚が楽しい。
Invisible Touch/Genesis
'86年発表の16作目。なんたって表題曲がゴキゲンなのだ。 昔のジェネシスはよく知らないのだけど、この作品ではもうプログレの影も形もない。 強いて言えば、2部構成の"Domino"にその片鱗が残っているかしら。
Sports/Huey Lewis And The News
'83年発表の大ヒットアルバム。この作品のおかげでこのバンドの人気が一気に急上昇。 中でも"If This Is It"が大好きなのだ。とにかく捨て曲なしで理屈抜きで楽しめるのだ。
There And Back/Jeff Beck
'80年作品。ヤン・ハマー、サイモン・フィリップス、アンソニー・ハイマス等がレコーディングに参加。 中でもサイモン・フィリップスのドラムスが凄い。彼がMSGに参加したときは馴れないジャンルということもあって、あまりピンとこなかったのだが。 さすがにここでは得意分野なのでハマリまくっている。 この作品におけるジェフのギターは、とにかく凄まじい。彼のドラミングに触発されている部分がかなりあると思う。
Mars Polaris/Tangerine Dream
3年ぶりTDのスタジオアルバムの新作。 今年の1月にNASAが打ち上げた火星探査機"Mars Polar Lander"のミッションが今回のテーマらしい。 TDの音楽を初めて知ったのが去年。ようやっとリアルタイムで彼らの新作を楽しめるのだ。 しかし、予想していたよりもかなり地味な音楽だった。今回の新作には大いに期待してしまったので、ちょっと肩すかしを食らった感じ。 もっと面白い作品を作れる才能を持っている人たちだけにちょっと残念。 耳に残る印象的なフレーズが少ないし、決め手になる曲もなかった。 どこを切ってもTDの音なんだけど、火星とか宇宙といったイメージはいまいち伝わって来ず。 う〜ん。いったいどうしちゃったんだろう?

★ July 1999 ★

Beehive Live/Paul Gilbert
'99年 Far East Tourの東京公演を収めたライブ・アルバム。 Mr.Bigの"To Be With You"やEL&Pの"Karn Evil #9"も収録されている。 観ている人の気持ちをハッピーにさせてくれる良質のライブだ。
Valensia/Valentine
いっそのこと、このご両人にはクィーンのカヴァー・アルバムを作ってもらった方がよろしいのではないか。 ギターの音は明らかにブライアン・メイのそれをシュミレートしているし。 曲もクィーンのあれだ!ってのがバレバレだし。 クィーンへの憧れが素直に思いっきり出ている作品でありました。 1曲だけELOの"Mr.Blue Sky"そっくりもあった。
Material/Casiopea
デビュー20周年だそうな。神保彰のサポート参加も恒例になったようだ。今回は曲も提供している。 あとゲストに金子隆博、小林太も参加。どこをきってもカシオペアの音。偉大なるマンネリズム。ジャイアント馬場の全日本プロレス。 継続は力なり。 聴いたことのあるフレーズがあちこちで使い回しされているのがバレちゃうと、いよいよネタ切れかと思ってしまう。 毎年律儀に新作を出してくれるのは嬉しいけれど。彼らに必要なのは2〜3年くらい休養してリフレッシュすることなんじゃないかな。 たまには新鮮な音で驚かせて欲しいと望むのはワタシ個人のワガママ・身勝手です。 多くの固定ファンはカシオペアの「らしい」音を望んでいるわけで、わしみたいに変化を望むのは間違いなんだろうな。きっと。
2/Liquid Tension Experiment
うひょーっ!こいつはすげえや。ぶっ飛んだ!音楽を聴いて鳥肌が立ったのは久しぶりのような気がする。 キングクリムゾンのTony Levin、ドリーム・シアター(以下DT)のJohn Petrucci、Mike Portnoy、Jordan Rudessによるプロジェクトの第2弾。 このテンションの高さはいったい何なんだろう?確かな演奏技術を持った者だけに許される芸術。 はっきりいって最近停滞気味のDTよりも断然こっちのほうがいい。 楽しんでレコーディングしている雰囲気が伝わってくるのがうれしい。 ジョンにしてもマイケルにしても何か吹っ切れたかのように、伸び伸びとプレイしている。 今回DTに新加入のジョーダンのキーボードも凄い。 まもなくリリースされるDTの新譜で新たなケミストリーを生んでくれることを期待したい。
Criteria For A Black Widow/Annihilator
彼らの1st"Alice In Hell"に参加していた初代ヴォーカリスト、ランディ・ランペイジがバンドに復帰。 80年代に流行ったようなシンプルなスラッシュ・メタルを展開。 ジェフ・ウォーターズ独特のクセのある複雑なリフが影を潜めてしまったのが残念。 Annihilatorらしさという点では疑問符。 前作のテクノ路線で失敗した反省の反映なのだろうか。 今回は原点回帰ということなのだろう。逆に懐かしさを感じさせていただいた。
Jaws Of Death/Primal Fear
マット・シナーとラルフ・シーパーズによるプロジェクトの2作目。 パワフルで正統的なヘヴィ・メタルを展開している。 ラルフのヴォーカルはピカイチの安定度。メロディアスな歌メロを見事に歌いきっている。 Gamma Rayに彼が戻ってくれたらと思わずにいられなかった。 惜しむらくはギターが平凡なこと。せっかく2本いるのだから、その特性を活かして欲しかったし。 もっと耳に残る印象的なリフとかソロがあったら、もう一段上の作品に仕上がったことだろう。