Impulse Buying
CD衝動買い

バックナンバー#3

'99年4月〜6月分。

ジェフ・ベックについては、もうちょっと待ってね!

★ June 1999 ★

Sohoman/Tangerine Dream
'82年オーストラリア・シドニーにおけるライブ。 メンバーはEdgar Froese、Johannes Schmoelling、Cris Frankeの3人。 聴き所はなんといっても"Logos Part One"。繰り返される切ないメロディがなんともいえぬ哀愁を誘う。 '83年にリリースされたライブアルバム"Logos"にも同曲が収録されているので聞き比べてみると面白い。 '90年代の彼らとはちがって、やや無骨な感じの音が楽しめる。来年にも他のライブ音源がリリースされるようなので今から楽しみ。
Curious Goods/Lana Lane
Early ELO (1971-1973)/Electric Light Orchestra
Live At Wembrley 1978/Electric Light Orchestra
Flash/Jeff Beck
Wired/Jeff Beck
Blow By Blow/Jeff Beck
Cosa Nostra Beck-Ola/Jeff Beck
Rough And Ready/Jeff Beck
4/Foreigner
'81年発表の4作目。大ヒットナンバー"Juke Box Hero"、"Waiting For Girl Like You"を収録。 後者の妖しいシンセの音がなんともいえず素晴らしい。
"RIT"/Lee Ritenour
耳から耳へするりと通り抜けてしまうヴォーカルが邪魔だあ。 リトナー先生のギターをもっと聴きたいぞ。ギターが目的の人は買ってはイケマセン。
Hello, I Must Be Going!/Phil Collins
'82年発表のソロ2作目。大ヒット「恋はあせらず」を収録。 "You Can't Hurry Love"といえば、ダイアナ・ロスを擁するシュープリームスがオリジナルなのだ。 ベストヒットUSAを見だした頃を思い出して感慨深いモノがありました。
Ramones/Ramones
'76年発表のデビュー作。邦題「ラモーンズの激情(^_^;)」。いい味だしてるなあ。ぷ。 シンプルでとてもわかりやすい音楽ですね。歌詞もヒジョーにわかりやすい。
Euphoria/Def Leppard
ヴィヴィアン・キャンベルの加入が果たして正解だったのかどうか。 今回の作品を聴いてもよくわからなかった。 今の彼がおかれている状況を良くいえば、デフレパの音楽に完全に溶け込んでいる。 悪くいえば、デフレパの世界に埋もれてしまってどこにいるのかわからない。 初期のDIOではギラギラと輝いていただけに、今の彼には歯がゆい思い。 ギターソロは卒なく決めているけれど、作曲能力では今は亡きスティーブ・クラークに遠く及ばない。 "Love Bites"路線のバラードを望むのは、この期に及んでもう無い物ねだりなんだろうな。 ん?でも、アルバム自体は捨て曲なしで良くできた作品だとおもいます。
ウラBTTB/Ryuichi Sakamoto
「リゲイン」のCM曲、筑紫哲也の「ニュース23」のテーマ曲(ピアノ・ヴァージョン)、映画「ぽっぽや」のテーマ曲(ピアノ・ヴァージョン)を収録。 これを聴いて疲れを癒しましょう。教授のピアノは柔らかくてやさしい音ですな。ピアノって誰が弾いても同じ音がしそうな楽器だけど、実は違うんですね。 弾く人によってガラリと音が変わるのですね。改めて実感しました。
What A Blast/Tangerine Dream
企画ものビデオのサントラらしい。ドラムス・パーカッション系の音が今回はかなり凝っているような気がした。 '80年代っぽいシンセの音をあえて多めに使ったのかな。 斬新さよりも懐かしさを感じさせる音作りが、かえって新鮮に思えた。
Ballad Collection/Lana Lane
バラードばかりを集めた企画アルバム。オリジナルの他にELOやTHE BEATLESのカヴァーも収録。 個人的には新作の"Queen Of The Ocean"よりもこっちの方が好き。 "Stardust"が素晴らしかった。久々に心が洗われるような美しい曲を聴かせていただたような気がする。 "Accross The Universe"に関しては聴く前とても不安だった。 というのもTHE BEATLESのカヴァーはいろんなアーティストが手掛けているけど、大抵はがっかりさせられるので。 でも今回のLANA LANEはよくやってます。これはいいです。この曲の美しさを十二分に引き出しています。
Love Is An Illusion(1998 Version)/Lana Lane
1995年発表のデビュー作をリマスタリングし、新たにボーナストラック3曲を加えたもの。 このバンドはあくまでもキーボードとLanaのボーカルが主人公。 ギターが恐ろしく凡庸でつまらないフレーズを弾いているのが気になった。 リフにしてもソロにしても、これらの主人公に対して遠慮しているのか?それとも遠慮させられているのか? ものすごく期待していたのだが、おかげで意外にも地味な作品だったというのが率直な感想。 ジョン・ペトルーシのようにとは言わないまでも、 キラリと光るギターがあちこちに散りばめられていたら、もっとメリハリのある聴き応えのある作品になっていたことでしょう。
Emily Bronte's Wuthering Heights/O.S.T.
教授が手掛けたサントラ。邦題:「嵐が丘」。 すでに廃盤になってしまったようで某CDで店頭在庫をあやうくゲットした。 終始後期のマーラーかブルックナーのような陰鬱なムードが支配している。 シリアスな雰囲気に浸りたいとき聴きましょう。
Yellow Metal Orchestra/Metal Service
怖いモノ見たさで買ってしまった。YMOをメタルで再現というアイデアはものすごくいいと思う。 だけど、どーせやるならもっと徹底的に遊んで欲しかった。オリジナルに対する遠慮が見えてしまってつまらない。無難な線に落ち着いちゃってるのね。 あと、メタル化するにも、よそのバンドのコピーになってしまっているがちょっとつらいね。 タネも仕掛けも見えている手品を見せられているようで白けてしまう。 特に、「MASS」→UFOの「Doctor Doctor」まんまってのは痛かった。「胸キュン」はモトリー・クルーだし、「Nice Age」はAC/DCだし、他にも挙げればキリがないけど。 「胸キュン」はいっそのことDeath Metalにするとか、「MASS」を徹底的に暗いDoom Metalにしちゃうとか。「Key」なんかはゴリゴリのスラッシュにしたほうが格好いいよ。 やりようによっては、もっと面白いアルバムに化けた可能性があるだけに残念だったね。

★ May 1999 ★

Head Hunters/Herbie Hancock
1973年の作品。もしかして、まだフュージョンというジャンルが確立する前の作品? だとすれば、フュージョンの原石のような音楽。リズムセクションがすごいです。プリミティブなリズム感が快感。 ハンコックさんの作品は今回が初めての購入だったけど、他の作品も無性に聴きたくなってしまった。 CD屋へ行くと山のように彼のCDが置いてある。。うーむ。どれから手をつけたらよいのだろう?
Hard Revenge/Ryuichi Sakamoto
教授の"Sweet Revenge"収録曲のリミックスバージョンを収めたミニアルバム。 "Love And Hate"、"Regret"が2種類のリミックス。 "Moving On"、"Same Dream,Same DEstination"はそれぞれひとつづつ。 あくまでもマニア向け。気が向いたらどうぞという感じです。 同じ曲が2度続くとけっこう飽きが来ますね。
Heartbeat(US Version)/Ryuichi Sakamoto
国内盤はとっくに廃盤になっている教授の"Heartbeat"アメリカ盤。こっちはまだ生きていたらしい。 しかもこちらのほうが1曲多く収録されているのだ。デヴィッド・シルヴィアンのヴォーカルによる"CLOUD#9"なる曲がそれ。 国内盤で日本語歌詞の曲はすべて英語になっている。まあ、"SAYONARA"の英語バージョンは、去年発売されたベスト盤にも収録されていたけれど。 各曲の細かい部分のミックスも若干異なるようだ。 "TAINAI KAIKI"はこっちのバージョンの方が聞き易くて好き。
Queen Of The Ocean/Lana Lane
うーむ。ストリングスのアレンジが昔のELOそのものだったりする。 こちらは生の弦楽器ではなくて、キーボードだけどフレージングはもうELOそのもの。 そういえば、彼女のバラードを集めた企画アルバムでもELOをカヴァーしていたので、特別な思い入れがあるのだろう。 もしかしたら、ハードロック版のELOみたいなことをここでやりたかったのかも。 安心して聴ける優れた作品。アップテンポの曲がもうちょっと入っていた方が全体にメリハリついたのではないかと個人的には思う。
The Maze/Vinnie Moore
ネオクラシカルなヴィニーが戻ってきた。 スパニッシュ的なフラメンコ調のアコースティク・ギターなども披露している。 歪んでいるんだけど柔らかでマイルドなギターの音が彼の特長。 しかし、このCDではちょっとプラスティック的な安っぽい音質に録音されていて玉に瑕。 せっかくいいプレイしているんだからもったいないよう。
@shra/Ash Ra Tempel
このアルバムに対する最大の賛辞は「やばい」である。「すごい」とか「すばらしい」とか「美しい」等の言葉はしっくりこない。 とにかくやばいのである。いままでミニマルのよさというものをいまいちわからなかったのであるが、これを聴いてようやっとわかった。 気がついたら、わかったという以上にやばくハマっていた。これを聴いて快感を覚えたらミニマルにハマってしまった証拠。 ここから抜け出すのはちょっとタイヘン。 延々と繰り返される同じリズム、同じコード。ふつうだったらすぐに飽きちゃうはずなんだけど、これは人の深層心理にまで潜り込んでくる。 簡単で単純な音楽のように思えるけど、実はかなりの計算と技術が必要なようだ。 さすがナチスを生んだドイツだけのことはある!(決してナチスを誉めているわけではありません)
Discord/Ryuichi Sakamoto
教授が芸大で学んだ現代音楽のエッセンスがこの作品に生きているようだ。 シェーンベルク、ウェーベルン、ベルクにあとはジョン・ケージあたり。 この辺の音楽に免疫ができている人でないと、この作品を楽しむのはつらいかも。 フル・オーケストラによる演奏に所々教授のピアノが聞こえる。 決して心地よい音楽ではないけれど、今この時代にこの手の作品を作ることができる教授は幸せモノ。 芸術家冥利に尽きるというところでしょう。
Sweet Revenge(US Version)/Ryuichi Sakamoto
国内盤とはぜんぜんミックスが異なるアメリカ盤。収録曲も若干異なる。 大好きな"Anna"が入ってないのが残念。 全曲にわたって低音域が強調されて、コーラス・パートにはより厚みを増した仕上がり。 個人的にはこちらのミックスの方が好きかも。 今井美樹が参加した"二人の果て"は"Sentimental"とタイトルが変えられ、歌詞も英語に。 しかも、歌っているのはあちらの歌手。いやにサラッと歌っているので違和感を覚える。 やはりこの曲は今井さんのわびさび的感覚がないと物足りない。 高野寛が参加した曲も、英語詞であちらの歌手に差し替えられている。 あちらで売るには何が何でも全部英語にしなくてはいけないのであろうか? 坂本九の「スキヤキ」があちらでヒットした例もあるし。 日本語の味があちらの人たちにエキゾティックに映るかもしれないのにね。
Little Buddha/O.S.T.
ベルナルト・ベルトルッチ監督、キアヌ・リーブス主演、ブリジット・フォンダも出演している映画のサントラ。 教授が手掛けているので買いました。 ところどころで「アラビアのロレンス」そっくりのフレーズが出てくる。ホントに教授が作ったのだろうか。
The Handmaid's Tale/O.S.T.
このサントラを聴いてまず思い出すのは、YMOの「テクノデリック」。 雰囲気的に「エピローグ」の曲が出てきたりする。あのときの方法論をなぜゆえにここに? ちなみにテクノデリックは'81年の作品。この映画は'90年の作品。YMO再生は'93年。 まさか、教授がこの期に及んでYMOにノスタルジーを感じたわけではあるまい。。。 「テクノデリック」に思い入れのある人は必ず聴くように。
Snake Eyes/O.S.T.
教授のサントラにしては、平凡な出来の部類に入ると思う。 「ラスト・エンペラー」や「シェルタリング・スカイ」などは、あとあとまで耳に残る美しいメロディーが印象的だけど。 こちらはいまいちの感じ。映画の方はニコラス・ケイジ主演、ゲイリー・シニーズも出演している。
High Heels/O.S.T.
スペイン産の映画に教授がサントラを担当。 映画を見てなくても"El Cucu #1"、"El Cucu #2"の2曲は教授の作品としてスンナリ楽しめる。 キャッチーでポップなインスト・ナンバー。 これらが"Heartbeat"あたりに収録されていても、まったく違和感がない。 Main Themeも心にグッと来る。
El Mar Mediterrani/Ryuichi Sakamoto
1992年バルセロナ・オリンピック開会式 で演奏された"地中海のテーマ"。 音だけではいまいちピンとこないっす。 やっぱり開会式独特の雰囲気と教授の指揮する姿があって初めて完璧に成立する曲だと思います。はい。 gut bounceが営業停止のため、在庫終了次第廃盤との情報をゲットし、あわてて入手しました。 ぎりぎりセーフでした。
Bad Enghlish/Bad English
ヴォーカルにジョン・ウェイト、ギターにニール・ショーン、キーボードにジョナサン・ケイン、ドラムスにディーン・カストロノヴァ! 今眺めても超豪華なメンバーである。"When I See You Smile"の大ヒットを生み、日本でもジーンズのTVCMに使用されたので御存知の方も多いのでは。 このアルバムがリリースされた当時は、この曲以外あまり面白くないなと感じてあまりのめり込めなかったけど、今改めてきいてみるとなかなかどうしてけっこういいのである。 ドライブのお供にしたい気持ちいい音楽が満載。
Crazy World/Scorpions
Scorpionsの魅力といえば、やはりサソリの毒気でしょう。 もちろん、ルドルフのソリッドで渇いた音のリフや、クラウスのずば抜けた歌唱力もそうだけど。 アメリカ市場への進出を意識したのか。それとも当時流行っていたLAメタルを意識したのか? やけに健康的で爽やかな曲ばかりが揃っている。 毒を抜かれたサソリになってしまった印象がある。 でも、曲自体はとてもよい。理屈抜きで楽しめる作品。 ただ、昔のScorpionsを知っている人には、サビ抜きの寿司みたいで物足りなく感じるであろう。
Whitesnake Live At Hammersmith/Whitesnake
うひょー!デヴィッド・カヴァーデルの声が若い!躍動感に満ちている。 ライブが楽しくてしょうがないという雰囲気がびしばし伝わってくる。 聴いている方も、こういうCDに当たると嬉しい気持ちになれます。

★ April 1999 ★

Eye II Eye/Scorpions
いきなりジャストなリズムがでてきて、おや?
2曲目"To Be No.1でピコピコな音が出てきて唖然。あらクラフトワーク?
3曲目"Obsession"でもリズムボックス的な音が出てきて、さてBoys II Men?
どうやらリズム・マシーンと生ドラムスの音を適材適所で巧妙に使い分けているようだ。 いやはや、こいつはたまげた!びっくらこいた!あのスコーピオンズがテクノ・ミュージック化!? コアなファンを全員奈落の底へ突き落とすかのような大変身。 だからといってわしが拒絶反応が起きたかというと、ノーなのだ。 印象的なメロディや泣きのスコーピオンズ節は健在で随所に出てくるし、まったく退屈させない。 全編を聞き終えるとクラウス・マイネの上手いヴォーカルがすべてを救っていることに気がつく。 彼の歌に素晴らしく説得力があるから、たとえどんな変化球でこようとも、すべて許せてしまうのだ。 "Black Out"や"Love At First Sting"時代のトゲトゲしさはすでにないけれど。 優れたメロディを極限まで浮き上がらせるために、 今回のこの方法を選んだとするならばなかなか野心的である。大博打といってもよい。 個人的にはけっこう気に入りました。前作、前々作よりはよほどインパクトがあるし、また聴きたいという気持ちにさせてくれた。 「問題作」のひとことではかたづけたくない作品である。な、なんと元Jガイルズバンドのピーター・ウルフがプロデュースしていたのね!
Under A Violet Moon/Blackmore's Night
リッチー・ブラックモアとそのフィアンセ、キャンディス・ナイト嬢によるプロジェクトの第2弾。 キャンディスの涼しげな歌声がなんとも心地よい。 リッチーはほとんどアコースティック・ギターをプレイしているのだが、終始暖かみのあるプレイを披露している。 眠れない夜にボリュームを最小限に落として聴くと具合がよさそうだ。 中世のヨーロッパを旅する夢を見ることができそう。ある街角の広場に旅人がやってきて突然のショーが始まる。 リュートやギターの心地よい音楽が街中に流れ、これを耳にした人々がナニゴトか?と三々五々集まってくる。 やがて3拍子のリズムに合わせて踊る人たち。老いも若きも手を取り合い踊りの輪が広がる。 みんな幸せいっぱいの笑顔を浮かべている。曲が終わるとやんやの歓声。 こうして、何百年も前の欧州のある小さな街で賑やかに夜は更けていくであった。。。
220 Volt Live/Tangerine Dream
'93年発表のライブアルバム。今回は'92年のUSツアーのときの音源。90年代に入ってからのタンジェリン・ドリームの音は、 ふわーっと上空を漂っているが如き浮揚感があって、それがたまらなく快感なのである。 このCDでも、その雰囲気がたっぷり楽しめる。今回のメンバーはEdger、JeromeのFrose親子の本隊に加えて、 ギターのZlatko Perica、サックス&キーボードのLinda Spa嬢がツアー・ゲスト・ミュージシャンとして参加している。 このふたりのゲストが実にいい仕事と見事なサポートぶりを発揮しているのである。 どちらかというと無機質で血の通っていないような冷たい感じになりがちなTDの音楽に、 人間的な温もりを与えているのである。さらに音楽的な広がりを提供し、彼らの音楽に新たな可能性・方向性をも示唆しているのである。 '92年にFrose親子のみで制作された地味なスタジオアルバムRockoonと聴き比べてみれば彼らの貢献度は一目瞭然なのだ。 9曲目の"Dreamtime"におけるふたりのギターとサックスとの協演が、まさにこのライブのクライマックス。 絶妙に絡み合う旋律の美しさといったらもう絶品。文句なし!8曲目の"Hamlet"では御大Edger Frose自身がギタープレイを披露。 テクニック云々というよりも貫禄だけで乗り切ってしまうあたりはサスガである。 Purple Hazeはジミ・ヘンドリックスのカヴァー。 イントロは完コピーで「おおっ」と思わず拳に力が入ってしまったのだが、歌が入ってなくて残念。 タンジェリンらしいやり方といえば、それまでだけども。ちなみに本作品は'93年度ドイツでベスト・インストゥルメンタル・ロック・アルバム にノミネートされたらしい。TDについて書き始めるとついつい力が入ってしまう。
Valentine Wheels/Tangerine Dream
今わしがもっともハマっているのがこれ!ドイツのタンジェリン・ドリーム。 今回のCDは'97年11月にロンドンで行われたライブを収めたもの。 メンバーは'97年に発売された"Tournado Live"のときと同じ布陣。 ライブの選曲は"Vintage Set"ということで、70年代〜80年代に発表されたわりと古めの曲を中心に構成されている。 シーケンサーによるコトコト・ポコポコという感じの細かい反復フレーズが延々と続き、 その上に妖しくも難解な旋律がゆらゆらと現れ瞑想的な雰囲気。 聴き所はなんといっても"Stratfear 95"! この曲は、'76年に発表された"Stratfear"に収録された名曲である。 のちに'95年発表のアルバム"Tyranny of Beauty"でセルフリメイクされ"Stratfear 95"として生まれ変わった。 今回は後者のヴァージョンが採用されたわけ。 イントロから観客は大騒ぎ。 さらに、哀愁に満ちたメインテーマがギターで奏でられると観客のボルテージは最高潮に達する。 いかにこの曲が多くの人に愛されているかがわかって嬉しかった。 実は自分もこの曲をかなり気に入っていたもので。 ラストの"Beach Theme"も感動のバラードで素晴らしかった。 こちらは'81年発表のサントラ"Thief"に収録されている。オリジナル・ヴァージョンよりも今回の方がだんぜんよかった。 ギターがとにかくキレイ。このアルバムのMVPはギターのZlatko Pericaであろう。 要所・要所でいい仕事しているし、音楽に新たな生命力を吹き込んでいる。 ああ!当分はこのCDを毎日聴いてしまいそうである。
Crystal Planet/Joe Satriani
クリスタル・プラネットって、ジャケットに写っている彼の頭のこと? という冗談はさておき、なかなか完成度の高いギター・インストゥルメンタルの作品である。
Garden Of The Moon/Lana Lane
冒頭のイントロダクションで思わずDream Theater?と思ってしまった。 キーボードが音といいフレーズといい元Dream Theaterのケヴィン・ムーアそっくりなんである。 どちらかというとプログレっぽい複雑な構成の曲が多いのだけど、歌メロがポップでわかりやすい。 "Images And Words"以降、自らうち立てた金字塔を越えることができずに苦しんでいる最近のDream Theaterよりも、 こちらの方がよほど親しみやすくて個人的には好きですね。
Test Of Faith/Von Groove
カナダ出身3人組の4th。やけにポップで甘ったるい作品で勝負に出たものだ。 メロディアスなヴォーカルを前面に押し出しているところは、80年代LAメタル全盛期の雰囲気を思い出させてくれる。 その代わり、歪んだギターの音は後方へと押しやられ、クリーンなトーンのギターや、アコースティックギターの音色を多用していることでもポップ化への意志が現れている。 今回の収録曲をすべてハードにアレンジし直したらどうなるか?と思わずにいられない。 デビュー作当時の威勢のいい曲を期待していると、10曲目の"Rock & Roll Sttion"までやきもきと待たなくてはならない。 自分個人的にはちと物足りなさが残る作品であった。歌メロを活かした曲作りは評価に値するけれど。 果たして今回のポップ路線への転換が吉と出るか凶と出るか?しばらく情勢を見守りたい。
Band On The Run 25th Anniversary Edition/Paul McCartney & Wings
1973年に発表されたこの作品のリリース25周年を記念して発売されたボックスセット。 disc 1には本編が、disc 2には未発表テイクやポール・マッカートニー、リンダ・マッカートニー、ダスティン・ホフマンらのコメントが収録されている。 いやあ!久しぶりに聴いたけどよい!ウイングスの最高傑作としてこの作品の名を挙げる人は多いけれど、確かにそれだけのことはあります。 "Band On The Run"、"Blackbird"、"Jet"、"Let Me Roll It"など、好きな曲がいっぱい入っているので安心して聴けます。 この作品と次の作品"Venus And Mars"はウイングスのまさに絶頂期の勢いを感じさせてくれます。
Autobahn Tour/Kraftwerk
'75年頃の貴重なライブ。収録はアメリカ?音質はあまり期待してなかったのだが、かなり良好。 曲と曲の合間にメンバーのやりとりまで入っている。 途中で機械の調子が悪くなってしまい、曲間のインターバルがかなり開いてしまう場面も。 その間、大人しく待っている観客!?というのも、今では考えられない情景。しかもアメリカで?? 当時の会場の空気やメンバーの人間性が伝わってくるような気がした。 最初はこのCDを輸入盤店でみかけたのだけど、かなりいかがわしいジャケットだった。 書いてある曲名も間違っていたらしく、胡散臭さ満点だった。 でも、海賊版ではなかったらしい。 ジャケットが格好良くデザインし直され、曲名も正しく訂正され、日本で正式にリリースされたものが今回のCD。
Computer World/Kraftwerk
1981年の作品。YMOのBGMとTECHNODELICが発表された年でもある。そう考えると両者のスタンスの違い等に興味深いものがある。 目まぐるしくドラスティックに自分たちの音を変化させてきたこの時期のYMOと比較すると、 クラフトワークはあくまでもマイ・ペースで自分たちの音楽を作っているようにすら思えてしまう。 少ない音数で隙間だらけの音。延々と繰り返されるフレーズ。ヴォコーダーを通したヴォイス。リズムボックスによる揺れのないジャストなリズム。 頑固なまでに自分たちのスタイルを守っている。だけど前作の"MAN-MACHINE"を聴いてみると、ホントは格段の進歩を遂げていることがわかる。 少ない音数ながらも、それぞれの音の絡み具合いは絶妙で実に快感!アルバムのコンセプトと音楽のマッチングも完璧。 クラフトワークを体験するなら、ぜひとも押さえておきたい作品である。
Born Again/Black Sabbath
ヴォーカルにイアン・ギラン。超ミスマッチ感覚。イチゴ大福というよりはチョコレート豚カツに近い。 ギランが参加したサバス作品はこれが最初で最後。やはり長続きしなかったのだ。 トニー・アイオミとギランは水と油の関係のごとく音楽性も合わなかったのだ。 確かに聴いていても、なんだか居心地の悪い部屋に閉じこめられたような、しっくりこないというか落ち着かない気まずさがつきまとう。 それにしても、サバスの歴代ヴォーカリストにロニー・ジェイムス・ディオ、イアン・ギラン、グレン・ヒューズとリッチー・ブラックモアつながりの人が名を連ねているのは興味深い。 アイオミがオズボーン時代のオカルト的な世界から脱却して、様式美な世界へと音楽的な方向性転換を図ったのせいもあるのかな。 ちなみにこの作品では、様式美というよりはストレートなロックを展開している。アイオミがギランに求めたのは、その辺なのかも。 オジー・オズボーン時代に特別なケミストリーがあったとするなら、ギランとの組み合わせにはそのような魔法は生まれなかった。 アイオミがけっこういいリフを連発してるんだけどね。
Master Of Reality/Black Sabbath
1971年発表のサードアルバム。”げほっげほっ!”って危ない咳で始まる"Sweet Leaf"は、延々と繰り返されるリフで完璧に洗脳される。 "After For Ever"や"Children Of The Grave"のリフもシンプルで格好いいなあ。 最近のモダン・ヘヴィネスの連中はなんだかんだいいつつも、みんなこれらをお手本にしてるんだよねー。 ラストの"Into The Void"のうねうねしたグルーヴ感なんかは、最近流行の音そのまんま。 「サバスなんてしらねえよ。」なんて生意気言っているモダン・ヘヴィネス君がいたとする。 彼が尊敬しているミュージシャンは誰かと問えば?実はサバス信者のミュージシャンを一生懸命尊敬したいたりするんだよねー。 HR/HMが好きな人は、一度は通過すべき作品。かくいうわしは、ようやっと通過しました! ところで、"Solitude"はいったい誰が歌っているのだろう?オジーではないような気がする。
Black Sabbath/Black Sabbath
1970年発表のデビュー作。 のっけの1曲目"Black Sabbath"からいきなりドロドロに暗いイントロで恐怖のどん底に突き落とされ、後頭部を鈍器で殴られたような衝撃を受ける。 Black Sabbathといえば音楽面でもシアトリカルな面でもオカルト的なイメージがつきまとってしまうのだが、 純粋に音楽だけ取り出せば、シンプルでストレートなとてもわかりやすいロックなのだ。 シンプルだからこそ余計な贅肉がない分古くならない。現在活躍中のミュージシャンに与えた影響は計り知れない。 へんな先入観や偏見は要らない。名曲NIBも収録。トニー・アイオミ奏でるシンプルで独特なリフには、人をぐぐっと惹きつける魔力があるようだ。 ギーザー・バトラーの滑らかなベースラインも印象的。ビル・ワードは手数の多いというよりは堅実なドラマーだったのだな。 オジー・オズボーンの歌と相まって唯一無二のブラック・サバスの世界が構築されていくのであった。 今頃?今更?のサバスだけど聴いてよかった。
Firebird/Isao Tomita
ストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」を富田勲がムーグ・シンセサイザーを駆使して再現。 「王女たちのロンド」の美しいメロディがなんとも官能的。 このパートにシタールのような音がでてくるんだけど、これもムーグでシュミレートしているのだとしたら凄いなあ。 これがエキゾティックな雰囲気を演出しているのである。 あと、ストリングス系の音が分厚くて凄い。何百回も多重録音してやっとこの質感が出るとか。 執念ですねー! 古さをまったく感じさせない。ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」、ムソルグスキーの「はげ山の一夜」も収録。 それにしても、やはりがちがちの古典派とかロマン派の曲はシンセに移しにくいんですかね。 確かに、あの時代の音楽は完璧に完成され過ぎちゃってまったく隙がないから、いじりようがないのかもねー。